make up…

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 『(かえで)がバイト先の男に(たぶら)かされている』  赤や黄色に色づいた街路樹は、ハラリハラリとその葉を落とし、ひと雨ごとに寒くなってきた晩秋。別の高校に通う親友の(みね)から、くだらない内容のメッセージに紛れて、急に重大な内容のものが届いていた。  嶺と楓は同じ高校だ。嶺は俺が楓に気があることを知っているため、楓の様子を時折知らせてくれる。  高校に入ってからも、楓の浮いた話を聞くことは無く、俺は完全に油断していた。だが、悪い男に誑かされているとなると、俺の心中は穏やかではいられない。  『どういうこと?詳細求む』  『そいつ、かなり遊んでるっぽくて手も早いらしい…姉ちゃんがそいつのこと知ってたんだけど、姉ちゃんの友達泣かされたって』  『マジ?楓はそんなチャラいのタイプじゃないでしょ』  『それが、H大学の経済学部のやつでさ…勉強も見てくれてるイケメンらしいよ』  『インテリのイケメンか。それはマズイな』  『大地(だいち)このままだと楓、食われちゃうよ?』    それはダメだ。  もし楓の気持ちがそいつにあったとしても、そんな化けの皮かぶった遊び人に食われてポイされるなんてこと…絶対阻止しなければ!
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