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「お…俺、男っす」
「うん、大丈夫」
「…へ?」
「オレ、どっちでもいけるから」
!!!?
俺が絶句していると、藤木は俺の頬を撫でた。
ひぃ!!
「昨日の女装も可愛かったけど、素顔の方がいいね。実は、この間ここで見た時から可愛いなって思ってたんだ…まさか同じ子とは思ってなかったけど、こうして見ると納得いくわ」
藤木はそう言うと、自信あり気な笑顔をグィッと近づけてきた。
ひえええぇぇぇ!?
「ちょちょちょ……」
俺が藤木に捕まったままの状態で慌てていると、俺の背後でバサバサっと、何かが盛大にばら撒かれたような物音がした。
「えぇっ!?えぇーーー!?」
振り向くと、楓が顔面を紅潮させて、目も口も大きく開けて驚いている。足元には、カバンからテキストやペンケースが飛び出した状態で落ちていた。
「楓ぇ…」
俺は、楓が来てくれたことにホッと胸を撫で下ろした。そして情けないことに、ちょっと半べそをかいてしまった。
それなのに楓は、どういうわけか嬉しそうに「なになに大地、これはそういう…アレ?」と、尋ねてきた。俺には何のことだか全く意味がわからないし、何で楓が嬉しそうにしているのかもわからない。
「あ…バイト代わったんだった…いっちゃん、オレ行かなきゃだから行くね…考えておいてね?」
藤木はオレの両手をギュッと握って、素早くオレの頬にチュっと唇を寄せてから、コンビニへと消えていった。
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