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俺は楓のバイトが終わる時間を見計らって、バイト先のコンビニへ向かった。
"遊んでいる軽い男を好きになんてなったら、痛い目見るからやめておけよ"
と、忠告してあきらめさせるつもりだ。そして、あわよくばデートの約束を取り付けて、二人で遊ぶ機会を増やしたいと思っている。
店に近づくと、楓が長身の爽やかイケメンとキャッキャと仲良さそうに店の周りの落ち葉を集めたり掃除をしているところだった。
俺は、例の大学生はあいつか…と、鋭い視線を送る。
「あれ、大地?」
楓が俺に気が付いて、声をかけてきた。
俺は予定より早く見つかってしまったことでバツが悪く、「よぉ」と顔の高さまで手をあげて、無理やり笑顔を作った。
「楓、バイト何時まで?終わってから時間ある?」
俺がそう尋ねると、爽やかイケメンが俺を一瞥してから「楓ちゃん、俺これ裏持って行っとくね」と、落ち葉でいっぱいの45Lのゴミ袋を持って俺たちに背中を向けた。
「あっ!藤木さん、すみません。お願いします」
藤木と呼ばれた爽やかイケメンは、少しだけ振り向いて「はいよ」と、余裕の笑顔を見せて店の裏へとゴミ袋を運んで行った。
藤木はツーブロックのアップバングが良く似合っていて、爽やかさの中にちゃんと男らしさがあり、長身でスタイルも良く、コンビニの制服すらも着こなしている。童顔で背が低く、華奢な体がコンプレックスの俺は、まざまざと違いを見せつけられて、自信を無くしてしまう。
「それで、どうしたの急に…」
楓は怪訝そうに、それでいて真っすぐに俺を見つめた。
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