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「大地が女装して、藤木を落とす!相当な遊び人なら、可愛い女がしっぽ振って近づいてきたら食いつくっしょ!ワンチャン、あるくね?」
「いや、ワンチャンねぇだろ。バレるわ!」
俺は、得意げな顔をしている嶺の提案を一蹴する。
「良い案だと思うんだけど…メイクとか服とか姉ちゃんに頼んでさ…」
「…それなら、そのしっぽの方の役目を姉ちゃんには…頼めない?」
「は?誰のための作戦だよ。俺の姉ちゃんがどうしてそこまでやらないといけないのさ…そもそも大地は……」
うっかり口を滑らせて厚かましいこと言ってしまった。すると、嶺のスイッチが入ってしまって"大地は昔から意気地がない"とか、"他力本願だ"とか、"男らしくなりたいくせに女々しい"とか、鋭い言葉の刃を浴びせられた。
「ごめん、わかったわかった…悪かったって…」
俺が素直に謝ると、嶺はフンと鼻から息を吐いて「…他に良い案ある?」と不貞腐れ気味に聞いてきた。そして「無いなら、その作戦でやるしかないよ。楓を守りたいんでしょ?」と、呆れ顔をする。
そこまで言われて、俺は意地になった。
「やるよ俺だって、やるときゃやるんだ!」
楓を守るためだ。
楓の傷つく顔は見たくない。
俺が守るんだ!
俺は自分に強くそう言い聞かせた。
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