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「いっちゃん、こっちだよ」
「いっちゃんは、どんなのが好き?」
「いっちゃん、これ一緒にやろ」
いっちゃん、いっちゃん…
みんなで行ったゲーセンで遊んでいる時、何もせずとも藤木の方から言い寄ってきた。
「イチちゃん、気に入られてるね」
美人なお姉さんが、藤木がクレーンゲームに必死になっている隙にコソっと俺に話しかけてきた。俺は「そうですか?」と、とぼけてみたが、誰がみても一目瞭然だった。
「イチちゃん的には藤木どうなの?もし気になってるならさ、二人にさせてあげようか?」
お姉さんは、栗色のサラサラの長い髪を手櫛でかき上げて悪戯に笑った。
色気ヤベー!
"藤木よりも、お姉さんと二人きりになりたいです!"と、心の中で雄である俺が叫ぶ。
だが、"これはチャンスなのでは?"と、冷静な俺が雄の俺を押し退けた。
そうだ、俺の目的は藤木をその気にさせること。藤木を落として、楓に藤木のことをあきらめさせることだ。
俺はお姉さんに「お願いしようかな」と、モジモジした態度で頼んでみた。あまりグイグイなのもいかがなものかと思うので、少し遠慮がちに。
すると、お姉さんが親指を立てて「オッケー、任せて!」と、白い歯を見せて笑った。
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