二人を繋ぐ夜光花の灯り⑥

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二人を繋ぐ夜光花の灯り⑥

 クロードの激怒した姿を想像しただけでぶるりと体が震える。前に一度だけ、クロードがブち切れたのを見た事あるけどあの時は本気で怖かった。俺が魔物に襲われてまともに動けなくなった時、あいつその魔物を骨の一欠片も残さず魔法で燃やしたんだ。あの時のクロードを見て『こいつだけは怒らせちゃいけない』って思ったんだよな。  そう思っていたくせに、俺はクロードを怒らせることをやっちゃった、と。  クロードはまぁ強いし顔はいいしで女にモテるモテる。それでいっつも女に声かけられて、毎日違う女を抱いていた。あいつは無類の女好きだ。女好きな奴を男の俺が襲ったんだからキレないわけがない。もしかしたら、今頃あの宿の部屋は魔法で吹き飛ばされていてもおかしくないくらいだ。 「あいつに追いかけられたら面倒だ。さっさと逃げなきゃ。けほっ」  それにしてもこの体、本当に嫌になるな。歩いているだけなのに、咳が出ているからかいつもより疲労感が強い。これくらいの移動でしんどいと感じることになるとは。それだけこの体の限界が近いのだろう。
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