こころのこる

16/21
前へ
/21ページ
次へ
 あいつらは、ウヒヒヒ!とケダモノのような異様に甲高い声で笑い合い、それにつられて教室全体が狂気で充たされていく。  まるで自分を見ているような気分で、僕の胸が痛んだ。 「あいつら……」  僕は呻いた。  が、実体がないから、あいつらに掴みかかったり、ラクダを庇うように寄り添うこともできない。  その口惜しい思いを彼も汲み取ったのだろう。 「たしかに、オレがそうだったように、お前にできることはたいしてないだろうな」  ため息混じりにそういった。  それでも、ラクダが自分たちの方に来ないようにしてあげたい。  ヒロノと僕は、そう言い合った。  
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加