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あいつらに限らず、カモにできるとなったら、それを嗅ぎ分けて寄ってくる人間がいる。
そういう輩は、たとえば僕の身近で、これまでどこにでもいたし、彼女は彼女でこれからも出くわすだろう。だから、仮にここであいつらと対峙したところで、実は大した解決にはならないのだ。
そのことがまた僕を無力感にひっ張り込み、深く押し沈めるのだった。
ラクダの肩が小刻みに揺れ始めた。
僕は泣き出したのだと、すぐに察した。
かくいう自分の目の端にもにじみ出ては流れ出てくる。
彼女の痛みが、同じく僕のそれとして直に伝わってきているのだ。
それを見て取ったのか、ヒロノは顎をさすりながら、つぶやいた。
「やっぱラクダを助けることが、お前自身を救うことにもなるんじゃないかな」
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