こころのこる

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 ヒロノは、おもむろに右手を前に伸ばすと指差した。「あれ……」  教室の隅で、ラクダというもじゃもじゃ頭の女子生徒が、例の三人グループに取り囲まれている。  今は彼女があいつらのターゲットになったと、ヒロノは僕に耳打ちした。    僕は感づいた。彼女は、自分の身代わりになろうとしているのだ。  ヒロノは僕の心を読んだのだろう。 「安心したか?」  そんなわけがない。  とはいえ、すぐさま助けてやることもできない。
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