幸せな食卓

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─ デンキュウよ、デンキュウ ─ そや、早ようにデンキュウよ これは大変です! 今は暗闇に守られている坊やとロデムですが、 電気が()いてしまえば、直ぐに見つかってしまいます。 どうしましょう! 大鼠は壁に前足を当てて、少しずす壁伝いに移動して、手探りでスイッチを探します。 ─ やや、あったわえ ─ おう、確かにあったわえ ─ これよ、これよ ─ あな嬉しや、嬉しや 大鼠は大きな体を揺すって小躍りしてから、 ふと立ち止まって、 ─ 子供を喰うのは久しいのう ─ まこと、久しいのう と言って、やおらスイッチに手を掛けたのです。 次の瞬間、 ── パチンッ!! 一瞬辺りが明るくなりました。 ─ あな嬉し、そこにおったか ─ まこと、そこにおる……………… 言い終わるか終わらないかのその時でした。 大爆音がして、玄関もリビングもパパもママも、坊やもロデムも、そして大鼠も、全てが吹き飛んで、何もかもがごちゃ混ぜになって、玄関から外へ飛び出して行きました。 そして── もうその時には、 既に二階の窓にいた坊やとロデムは、 大好きなママに ご飯ですよと呼ばれて、 真夜中だと言うのに 湯気立ち上るご飯の前で、美味しそうに缶ビールで喉を鳴らすパパの横にちんと座って、 今日初めての食事をいただく所だったのです。 【幸せな食卓 ─ 完】
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