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洗面所から出てきたら、古暮課長はキッチンでなにやらやっていた。
「もうちょっとかかるから、待っててくれー」
ちらっとだけ私を見て、課長が料理を再開する。
寝具は片付けられ、ベッドはソファーへ戻っていた。
「手伝います!」
昨日から課長にはいろいろしてもらいっぱなしなのだ。
少しくらい、なにかしたい。
「んー、いいや。
もう慣れてるし」
「……そうですか」
すごすごとソファーへ腰を下ろす。
課長がいいならいい……のか?
少ししてジャーッとなにかを焼く音と、いい匂いが漂いだした。
……古暮課長、なに作ってるんだろ。
気になってカウンターからのぞき込んでみたら、カットされたフルーツの山と、生クリームが見えた。
「あっ、こら!
見たら楽しみがなくなるだろ」
悪戯がバレたみたいに、課長は照れくさそうに笑っている。
「バレたんなら仕方ない。
こっち来いよ」
彼が目で呼ぶので、カウンターを回ってキッチンに入った。
「ほら。
これに好きなだけ、生クリームとフルーツを盛れよ」
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