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言葉を切った彼は、つらそうに目を伏せた。
「でも!」
再び顔を上げた課長とレンズを挟んで視線がぶつかる。
「瀬谷となら上手くいくと思うんだ。
あまり女らしさとか女子力とか興味なさそうだし」
「興味なさそう……」
はっきり言われると若干傷つくが、事実なだけに仕方ない。
「俺は好きな女のために料理や掃除をして、喜ばせたい。
ただ、それだけなんだ」
古暮課長はどこまでも真剣だが、彼がちょっと変わった人だとは知らなかった。
でも、そういうのは嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
それに、また結婚するのは怖いと言いながら、こんなにも真面目に私を想ってくれている。
ならば私も、真摯に応えなければならない。
「もうご存じかもしれませんか、私は片付けとか全然できませんよ?
ゴミだけは捨てているので、かろうじてゴミ屋敷から免れているような人間です」
「知ってる。
俺がやるから心配しなくていい」
「料理も期待されても、こんな凄いもの作れません」
「俺が作るから問題ない」
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