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買った荷物を持とうとしたが、さっさと課長が取ってスーツケースと一緒に掴む。
「持ちます!」
「いいから」
さっさと歩きだした彼と一緒に店を出た。
「俺のビールが一番、重いからな」
なにが楽しいのか、課長はおかしそうに笑っている。
「それから、これは今日の残業のご褒美。
素直に奢られておきなさい?」
振り返った彼が、人差し指で私の額を突く。
「でも……」
「俺がいいって言ってるんだから、いいんだよ。
わかったか」
やはり課長は楽しそうに笑っているが、私にはわからなかった。
古暮課長の住んでいるマンションは、コンビニから目と鼻の先だった。
「……ワンルーム、ですか?」
中はいかにも古暮課長らしく、モノトーンで揃えられていた。
オープンキッチンとリビングが広がっているが、それ以外の部屋はなさそうだ。
それにしてはベッドが見当たらないけれど。
「いや。
メゾネット。
上に二部屋ある」
気づかなかったが課長が指した先には階段があり、上へと繋がっていた。
「へー」
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