第十八話:京橋の旅館の仲居部屋

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「……幸い、本日は一部屋だけ空いております。ただし明日からは、満室ですね」 「……そうですか。年末ですからね」 ひゐろが落胆した顔をしていると、旅館を営む男が 「そうだ!先月、仲居が一人辞めたので、布団は一つ空いているはずだ。明日以降は、仲居部屋にいてはどうか」 そばにいた仲居が、驚いた顔をする。 「……ご主人様。こちらのお客様を、仲居部屋に通すのでしょうか」 「あぁ。どうやら、貸家を探しているらしいから。今は不景気でしかも年末だから、行き場を失うのも気の毒だろう。雪が降る可能性もあるし」 仲居は、なぜゆえにという顔をしてひゐろを見た。 「明日からの寝泊まりは、仲居部屋でも良いかい。五人部屋だ」 旅館を営む男は、ひゐろに提案した。 「もちろんです!」 「仲居部屋といえども、宿代はいただくよ。今日の部屋の半額だ」 「ありがたいです。恩に預かります」 ひゐろは深々と、頭を下げた。 「……それでは、本日のお部屋にお連れいたします」 仲居はひゐろを連れ、二階へ通した。 「こちらがお部屋です。どうぞ」
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