CHAPTERキャンペーン

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「おひさー」 彼女はいつも突然やってくる。 彼と年の離れたお姉さん。 複雑な家庭事情が作った、超仲良し姉弟。 私にもホントの姉や親友のように接してくれる。 「…ども」 何となく流れで、 大好きなキャラメルマキアートをご馳走になる。 「あっ、そういえばコンビニ行った?」 「いえ…」 「あっじゃあ行こうよ」 「う、うん」 「絶対面白いもの見れるから」 不思議そうな私にそう言ってウィンクする。 「いらっしゃいませー」 「ぷっ…」 「…っ!」 思わず笑ってしまうお姉さんと、 目を見開いて彼を見つめてしまう私。 「キャンペーンらしいよ」 お姉さんは笑いを堪えながら、 彼の頭に乗っかる物体を指さす。 明らかにサイズ小さめな帽子? 角みたいな触角が着いている。 「新しい戦隊とこらぼしてるんだって、 それにしても今時“サンバイザー”って」 そう言って笑いをこらえる彼姉。 あれ、『サンバイザー』っていうんだ。 彼の頭に乗っかる帽子のようなものを見て、 私は妙に納得してしまう。 「581円です」 「これで」 そう言って彼姉はスマホを出す。 文明の進化に乗りまくって使いこなす。 さすが彼姉。 ピッ 「あんまり俺の彼女連れまわすなよ」 「わかってるって。 ねぇ、それ持ち帰れるの?」 彼の話そっちのけでサンバイザーをつつく彼姉。 「…チッ」 彼は小さく舌打ちをした。 「支給されてるし、1週間たったら持ち帰りだよ」 めんどくさそうなのに、まじめに答える彼。 「だって。家でもかぶってもらいなよ」 イタズラの笑顔で私に言ってくる彼姉。 「かぶんねーよ」 「…」 「あんま見んな」 「え…?」 「はずいから」 そう言われてじっと見ていた私の方が恥ずかしくなる。 「じゃ、バイトがんばってね」 彼姉に連れられて私はコンビニを出る。 「ありがとうございましたぁ」 律儀だなぁ。 小さすぎるサンバイザーと、 恥ずかしそうな彼。 彼姉のおかげで、いいもの見れた。
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