CHAPTER嫉妬?

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CHAPTER嫉妬?

ゼミの教授のお手伝いをしたら、 教授に 『手伝ってくれたお礼に』 と、大学近くのレストランの食事券をもらった。 手伝いをした5人は、喜んでおなかを満たした。 「ちょっとコンビニ寄っていかない?」 いつもみんなをまとまとめている女の子が言った。 みんな賛成してコンビニへ。 「いらっしゃいませー」 友だちと呼べるかは微妙だけど、 自分の人間関係を彼に見られるのは、 何となく気恥ずかしい。 入店した数人の中に私を見つけた彼は、 ちょっと驚いた顔をしたけど、 すぐに営業用の顔に戻る。 私も思わずほほが緩みそうになる。 それを隠すためにちょっとうつむく。 「大丈夫?」 なんか勘違いしたのか、私を気にしてくれるゼミの男友達。 「あ、う、うん何ともないよ」 私は彼に笑顔を作る。 その友達はさわやかな笑顔で私の肩を抱こうとした。 思わず身構えてしまう。 「あ、ごめん」 そんな私に気付いて、手を引っ込めた。 ちょっと胸をなでおろす。 彼以外の男の人はちょっと慣れない…。 みんなそれぞれ買い物を済ませる。 「ありがとうございましたぁ」 …? あれ? なんだかとげとげな声。 でも、顔は笑ってる…。 ちょっと気になったコンビニ店員の彼の態度。 わたしは、ゼミのみんなに流されるようにコンビニを後にする。 引かれる後ろ髪…。 ガチャ アパートのドアが開く音。 「おかえり」 思わず玄関に出てしまう。 ぎゅっ…。 「…!」 突然に抱きしめられて戸惑う。 「お、お帰り…」 彼の背中に回そうとした手を瞬速で握られる。 壁に思い切り押し付けられ、 何も言わずにキスされる。 「ん…」 なんだかわからないけど、 彼の想いが熱い吐息とともに唇から体に注がれるのがわかる。 「俺が好きなんでしょ?」 「え?」 唇が離され、唐突に言われる。 「好きだよね?」 優しく、なのに強引に圧がかけられる。 「…うん」 なんか、ハズイ。 「俺だけに愛されとけ…」 アンニュイな感じで、なんでもないような感じでそう言って、ポンポンと頭に手を置く。 その後リュックからリンゴジュースを出す。 「はい、お土産。お利口に待ってて偉かったね」 そう言いながら私に手渡す。 両手で受け取る私を見て、 彼はニコッと笑った。 キュン、と胸が締め付けられる。 …。もしかしてこれって…。 「嫉妬しちゃった」 私の気持ちを追い越すように彼が舌を出しながら言う。 あぁ。 その嫉妬も含めて、私はまた彼に惹かれてしまう。 ガラにもなく彼を後ろから抱きしめる。 「ん?どした?」 「…すき」 ふっ。 彼は鼻で笑った。 みなくてもわかる。 今、とっても嬉しそうな顔してるよね…。 だいすき。
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