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「ううん。一緒にしてちょうだい」
「遠慮しないでいいんだぞ。ここのスイーツも有名だ」
「じゃあ、帰りに少し頂いて帰るわ。おばあちゃんに差し入れする」
そう言うと、彼がウエイターに頼んでくれた。
「由花。話したい事ってなんだ?」
「玖生さんこそ何?」
「由花、俺は……」
「私の話があなたの決意の手助けになるなら、先に話すわ」
「由花、お前……」
「玖生さん。総帥を継ぐんでしょ?おうちの仕事を継ぐってあのとき言ってたじゃない」
「あのとき?」
こちらを光る目が見つめた。
私は鞄から袋を出した。そして、彼の目の前に置いた。
「なんだ?」
「開けてみて……」
彼が袋を開けてそのハンカチを手にした。そして、じっとそれを見つめると私へ視線を返した。やはりあなたのものだったのね。私に何も尋ねない。
「あなたのでしょ?イニシャルが入ったハンカチなんて持っている高校生の男の子。普通の家ではないと大人になって気付いたけど、顔が思い出せなかった」
「どうして俺だとわかったんだ?」
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