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「それも聞いたわ」
玖生は由花のことをじっと見つめた。そして深く息を吐き、ゆっくり口にした。
「由花、結婚前提で付き合ってくれ」
「ええ……でも結婚を少しだけ待ってくれる?」
「ああ。もちろんだ……やっとお前の気持ちが手に入った。いくらでも待つよ」
「あなたを信じてるから告白したの。でも、結婚を待たせることはできないとわかっているつもりよ。だから覚悟はしている。清家のおじいさまが許して下さらなかったら……夢を実現させるために私のこと捨てても……」
「俺を信じてるといった先から何を言おうとしている?」
由花は頭を振った。
「由花。俺たちは幼い頃からの夢を実現する最後の一歩まで来た。俺はお前の行く先の邪魔はしたくないが、お前を諦めることもしない。安心して進め」
嬉しくて涙が出た。
「おい、由花」
立ち上がった玖生さんは私の側に来ると、私が渡したハンカチで涙を拭いてくれた。
「由花は泣き虫だろ。また、これを貸すことになるとはな……」
そう言って、私の手にハンカチを握らせた。
「アメリカから帰ってきたら返してくれよ」
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