噂と決意

3/14
前へ
/198ページ
次へ
 「いや、お前のせいじゃないだろ。その五十嵐流とやらをまた使っているんだろう?」  「ああ」  「次に花を活けにくるのはいつだ?」  「ちょっと待て。調べてくる」  そう言って鷹也は部屋から担当に連絡した。  「玖生。ちょうど今日来るらしい」  「いつ来る?」  「いつもは昼時だ。これから来るだろう」  「噂を流したその家元が来るのか?」  「ああおそらくは。俺に他へ依頼させないよう、釘を指すために、あれ以降必ず家元がわざわざ来る」  「わかった」  俺は由花へ電話すると、昼をツインスターホテルで一緒にとらないかと誘った。アメリカへ行くまであまり間がないので、出来るだけ会いたいと言ったら何とかして行くと可愛いことを言ってきた。  「玖生、何する気だ?」  「荒療治といこう」  玖生がニヤリと笑う。鷹也はこういう玖生に逆らえないとわかっているのでため息をついた。  「わかったよ。その代わり、あまり派手にやるなよ」  「ああ。任せろ」  そう言うと、由花がくるまでエントランスへ降りて少し話しをした。
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4116人が本棚に入れています
本棚に追加