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「一緒に住むってことは、同じ空間で過ごすってことですよ? 真白さんは女性嫌いなんじゃ……」 「泉さんは大丈夫みたい。狭い空間に一緒にいても、不思議と心が嫌がっていないんだ。なんでだろう。他の女性みたくがつがつしてないからかな?」  なんだろう。真白さんの言葉の1つ1つが引っかかる。  まずは、この部屋のことを狭い空間とナチュラルに侮辱していること。  そして、私を女性扱いしていないこと。  胸の奥がちくっと傷む気がした。その理由を考える時間がなかった。  一緒に住む?  童貞で女性嫌いの真白さんと?    交際してもいない男性と一緒に住むなんて。普通なら女性側は警戒してしまうだろう。  ただ、私が警戒する必要は一切ない。  なぜなら……。 「大丈夫。絶対、絶対に! 手出したりしないから! それだけは自信もって誓える!」  真白さんは、胸を張って言い切った。歯切れよく言った言葉は、なぜか棘のように胸にチクリと刺さる。ここまで言い切られると、安心するというより心が少し傷ついた。  「もちろん、条件はあるよ?」  どうやら条件はあるようだ。家事は全て私が担当で、家事代行の代わり的なやつかな。なにか条件がなければ、女性嫌いの真白さんが、誘うわけないよね。  しかし、想像を遥かに超えた信じられない条件を告げられる――。  
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