7

13/15

572人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「みんなもいるし、ちょうどいいや。俺と泉さん。付き合うことになったから」 「え、」  「え?!」  驚きの言葉がこだまする。みんなが驚くのは当然だ。しかし、それ以上に私だって驚いていた。  だって、計画では秋月さんにだけ交際宣言をするっていう話で。皆の前で交際宣言をするなんて計画にはなかった。 「えー! びっくりした。けど、おめでとうございます」 「驚いた。でも、うちの会社恋愛禁止じゃないですもんね」  驚きの声から祝福の声へと変わっていく。  ただ一人を除いては――。  ぎろりとこちらを睨みつける視線を感じる。もちろん秋月さんだ。怖くて視線を合わせることができなかった。  ひたすらに鋭い視線を浴びて、気づいていないふりを貫いた。    男性社員が去っていき、私と真白さん。そして、秋月さんの3人が残った。  真白さんは改めて秋月さんと向き合う。 「秋月さん。さっきも言ったけど、俺は泉さんと付き合っている。だから、家の前で待ち伏せされるのは迷惑なんだ」 「え♡ 知ってたんですか? 知ってたのに、帰ってきてくれなかったんですか?」  さっきまでのしんなりとした表情は消えていた。いつもの調子の秋月さんに戻っていた。話す語尾は上がり、ハートマークが浮かび上がる。   「それは、キミがいたから帰れなかったんだよ。他の社員の前で言わなかったのは、最後の優しさだから。また待ち伏せが続くようだと、こちらもそれなりの処置をとるからな?」  そう言い放つ声は冷たかった。さすがの秋月さんも気まずそうな顔をして黙り込む。 「そういうことだから……」 「本当に好きなんですか?!」  真白さんが穏便に話を終わらせようとすると、遮るように甲高い声を上げた。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加