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「そうか! この気持ちは正しいのか! 俺さ、泉さんとむぎを重ねちゃうんだよね」 「は?!」 「実家でむぎと暮らしていた時も、ご飯あげて、おもちゃも買ってあげて、何でもしてあげたくなる可愛さで。泉さんにもその感情と近いんだ。だから、全然嫌じゃなくてさ。むしろ、いろいろやらせてもらった方が俺も嬉しくて」 「……」  見事に期待を打ち砕かれた。吐けないため息は心の中で盛大に吐き捨てた。  愛犬と同類か。そうだよね。真白さんは女性が苦手なんだから。私を好きになるはずなんてないもの。だけど、あまりに優しいから期待してしまった。 「むぎの毛色はチョコレートブラウンなんだ。泉さんの髪色と似ててさ」 「左様ですか。私の髪色は美容室のカラー剤によって作られたブラウンですけどね」 「……なんか怒ってる?」 「いえ。滅相もないです」  期待した分だけ傷ついて完全に不貞腐れた。  そんな私に向かって、永遠とむぎの可愛さを力説してくる。  私は女性として好かれたかったから不貞腐れているのに、全く知らない真白さんは、ひたすらに愛犬自慢を続けている。  なんなのこの人。  だけど、必死に愛犬自慢を繰り広げる彼の姿に、愛おしさが込み上げてきてしまうのだから。どうしようもない。片足どころか、両足とも沼にどっぷり漬かっているのだ。  
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