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「久しぶり」 「……」  嘘っぽい微笑みを浮かべて声をかけてきた。返事はせずにキッと睨みつけた。話したくもなかったからだ。 「ちょっと、話さない?」 「話なんてないよ。詐欺師と話すことなんてない」 「詐欺師?! 人聞きの悪いこと言わないでよ? 俺は彼氏でしょ?」 「何言ってんの? お金のために近づいてきたことくらいわかってるんだから!」  頓珍漢なことを言うので、思わず声を荒げた。  正気か? お金をせびる男を彼氏だと思うほど、私の頭はお花畑ではない。  軽蔑する眼差しを向けても、動揺1つ見せずに口角を上げてニヤリと不気味に笑った。 「そんな大声出して大丈夫? ここ会社の前っしょ? 会社の前で男と言い合いしていたら、変な噂立てられるよ?」 「……」  どこまで意地悪いのだろう。お金のためだったとはいえ、半年ほど男女の付き合いをしていた。私の周りを気にする私の性格を把握した上で言っている。
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