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私の嘆きを顔を歪めながら聞いた佐伯さんは、ゆっくりと立ち上がった。
そして椅子に座る私のことを優しい顔で見下ろしてくる。
「こんなに綺麗で格好良い園江さんでもつまらなくなっちゃうものなんだね。」
私の嘆きを佐伯さんが理解出来ることはないだろうけれど、理解しようとしてくれているのは分かる。
だって佐伯さんはあんなにも苦しそうな顔で話を聞いてくれていたから。
「片想いの人にも今みたいな姿を見せれば良かったのに。
そしたらきっと園江さんのことをちゃんと女の子だと思ってくれたと思う。」
「見せたことはあるよ・・・。
あの人には結構見せてた・・・。」
「そうなんだ?
それなのにその男は園江さんのことを女の子として見てくれなかったんだ、変なの。」
佐伯さんがそう言って・・・
涙と鼻水でグチャグチャになっているはずの私の顔を指先で触れてきた。
それには驚き固まった・・・。
私のことを見下ろす佐伯さんの雰囲気が大きく変わったから・・・。
「私には凄く可愛い女の子に見えたけど。」
声も口調も変わらないはずなのに、何故か佐伯さんのことを見上げてドキドキとしてしまう。
「園江さんがどうして女の子達から好かれちゃうか知ってる?」
「私の見た目・・・?」
「それだけじゃないよ。
園江さんのこの綺麗で格好良い見た目とまるで王子様のように優しい心と、あとは・・・」
「あとは・・・?」
佐伯さんの片手が私の頬を優しく撫でる。
その撫で方はただ優しいだけではなく、なんだか変な感じで・・・。
「思い描く“王子様”みたいに完璧ではないようなトコロに凄く引かれる。
母性本能をくすぐられるのかな。
本物の男に対するソレよりも遥かに感じるコレは、園江さんの心がそんなに強くはないことを女の勘で感じ取るのかも。
私がどうにかしてあげたくなる。
私が園江さんの傍にいてあげたくなる。」
私の頬を撫で続ける佐伯さんの顔が私に少しだけ近付いてきた。
「でも、この綺麗で格好良い顔であんなに可愛い心をさらけ出されたら、こんなのもう凄く可愛い。」
「そんなの、ないよ・・・。
そんなことなんて言われたことない・・・。」
「照れてる?可愛い・・・。」
私のことを見下ろす佐伯さんの雰囲気がどんどん変わっていく。
こんなに綺麗で可愛いはずの女の子なのに、なんでかこんなにもドキドキしてしまう。
まるで男の人に・・・砂川さんに感じた時と同じようなドキドキで・・・。
「片想いの男に女の子として愛して貰いたかったんだ?」
「うん・・・。」
「あとは?あとはその男に何をして欲しかった?」
「あとは・・・抱き締めて欲しかった・・・。」
「うん、他には?」
「他には・・・他には・・・キスとかもして欲しかった・・・。」
「可愛いね・・・。
エッチもして欲しかった?」
「うん・・・。
いつも私が自分から入れて自分で動いてただけだったから・・・。
普通の男女がするようなエッチをしてみたかった・・・。」
「え、なに?そいつとエッチしてたの?」
「うん・・・エッチというかなんというか・・・。
私の穴にその人のモノは入ってた。」
「やることやってたんだ、凄くムカついてきた。」
凄く怒った顔の佐伯さんが私の頬から手を離し・・・
「ゎ・・・っ」
私の身体を優しく抱き締めてきた。
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