第1章(1)

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ここは妖精の国。 美しい緑と水が溢れた豊かな国。 人間界とは違って四季はなく、一年中ずっと春ように過ごしやすい気候で、いい香りの色取り取りの花が咲いている。 中心部には妖精王が築く城があって、その周りには妖精ーエルフー達が住む街がある。 賑やかで平和な世界。 人間界と妖精界の間には、深い深い【妖精の森】があって、この妖精の森を通ればエルフは人間界に行く事が出来る。 だが。人間が妖精の森を通り、妖精界に来ることは不可能だ。 平和主義で争いを望まない妖精王が、今も尚戦争などと言って争い合う人間達の侵入を避ける為に作った森。 人間が、一度足を踏み入れたら決して抜ける事も帰る事も出来ない【迷いの森】だから……。 妖精王は立派だ。 この国に住む、たくさんのエルフ達に慕われている。 俺は、そんな父上には全く似ていない。 色素の薄い黄緑色の髪と瞳を持つ、出来損ないの第二王子だった。
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