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特に楽しい事も嬉しい事もなく、ただ生きているだけの無とも言える時間を、もう百年も過ごした。
人間よりもはるかに寿命の長い俺達。
ーーけれど、意味がない。
時間がいくらあっても、何不自由ない生活があっても、無の時間では何の意味もなかった。
今、俺が生きている唯一の希望。
それは、
ーー彼女が生まれ変わるのを待つーー
その希望だけが、今日まで俺を生かし続けていた。
ガチャッ!!
「バッ、バロン様ッ!!
大変ですっ!バロン様ぁ~ッ!!」
ノックもなしに、挨拶もなし。
突然扉を開ける無礼者。
今俺がルナを失った傷心の状態じゃなかったら、間違いなく打ち首にしてくれる。
命拾いをしたこの無礼者はシュン。
俺が幼い頃からの世話役で、まあ身分違いはあるが俺の幼馴染だ。
「朝からうるさい。要件はなんだ?」
溜息をつきながら顔だけ向けると、シュンは俺の前で片膝をついて呼吸を整え、今にも泣き出しそうな瞳で見つめてきた。
「バロン様!お喜び下さい!
ルナ様が……。ルナ様の生まれ変わりの者が見付かりました!!」
ーー俺は一瞬、呼吸が止まった。
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