母と親

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「うちの会社は性別に対する差別とかがないから、働きやすいと思うよ!」  差別がないとか言ってる時点で、もう烏滸がましいんだよな。  私は思う。本当は、「差別がない」のではなくて、「差別がないのが『当たり前、当然』」なのがよかった。そもそも、男女で賃金とか役職に格差がある時点でアウトだろう。けど、この会社はまだいい方だ。前の会社では、レズと言われて居づらくなった。あいつらは男性以外が好きなら何でもレズだと思っていやがる。  私は体は女性。好きな性別は分からない。恋愛感情はなし。性的欲求はアリ。この場合どちらでも可。  自分の性別の正式名称は分からない。知っている名前で表すならアセクシュアルとバイセクシュアルのハイブリッドといったところか。  分からないけど、知ろうとはしない。  知っても、周りの人たちの意識は変わってくれない。  みんな皆、性的マイノリティのことは他人ごとだと思ってる。完全に女性な人は逆に珍しいのに。完全な男性も珍しいのに。  そもそも、なんで性別は2つって決めちゃったんだろう。人間はやたら簡素化したがる。物理でも、全ての現象を一つの法則で説明しようとしている。数学も、より簡素化した式が美しいとされる。どうしてなんだろう。  障がい者の方への差別だってそうだ。そもそも漢字に悪意がある。どうしてーー  だから私は死ぬことにした。世界が何か変わることを祈って。
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