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「好き、好き!! 大好きなんです!」
これまで言えなかった思いを一気に吐き出してしまえば、あふれ出る言葉は止まらない。
「初めて私のお茶を飲んでくれた時から目が離せなくて、仕事時の真剣な表情も、私と一緒にいるときに、ふと緩む表情も優しいところも全部好きです!!」
「菜々……」
そう言うと、彼は私の手を取り、大好きな柔らかな笑みを浮かべた。
「一生大切にします。結婚してくれますか?」
もう、私は自分に自信をもって生きていける。本当の私を知ってこうして愛を伝えてくれる人がいる。
「はい、不束者ですがよろしくお願いします」
そう答えた私に、謙太郎さんは優しく甘く口づけてくれた。
その時、後ろから咳払いが聞こえ、慌てて私達は距離を取る。
「中でやられますか?」
いつのまにか神父様がそこに立って優しい瞳で私たちを見ていた。
恥ずかしさで真っ赤になる私に、謙太郎さんは神父様に頭を下げる。
「ご無沙汰をしております」
「これは向井先生、ご立派になられて」
面識があったようで、神父様は嬉しそうに謙太郎さんを見つめた。
「また、改めてお願いします」
そう伝えた彼に、私も頭を下げて頷いた。
あなたと出会ったこの場所で、もう一度みんなに祝福されて愛を誓う日はすぐそこだ。
「さあ、奥様、我が家へ帰りましょうか」
いつも通りの完璧なスマイルでそう言うと、私に手を伸ばす。
「はい、旦那様」
彼の隣でずっと私は一緒に生きて行く。
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