スパダリ部長に愛されてます

はじめてのレッスン

新山賢二
部長と同じ名前だ。
年齢も32歳なら同じぐらいだろう。
サッカーで膝を痛めたっていうところも、確か春の送別会で話していたような。
え？えー？？
どうしようどうしようどうしよう。

新山部長とは。
今現在、私が知る限りでは、身長180cmを超え、常に背筋をまっすぐ伸ばして姿勢よく、
顔は小さくスタイル抜群、髪はいつも短く整えられ、誰がどう見ても、イケメン好青年。
高校から大学卒業までをアメリカで過ごし、英語が堪能。スペイン語と中国語もできるらしい。
噂ではどこかの企業の御曹司だとか、学生時代に友人と起業して、その会社を売却してなかなかの資産家だとか、
秘書や受付、営業、各部署の女性陣や社外の女性たちとの華やかなお付き合いが噂されている。
どこまで本当かはわからないけれど、
女性陣の間でそんな話がでるぐらい、社内では注目される独身男性の1人だということ。

部署の上司とは言え、派遣である私は課長やグループリーダーとの仕事がほとんどだから、
挨拶を交わす程度の間柄。
私にとって雲の上の人だから、あまり接点はない。
私の顔と名前は覚えていてくれるだろうけど。

私の思考は途中幾度も脱線しながら、ケイコ先生のメモをみつつ、
明日の新山さん向けのレッスンを組み立てていく。

挨拶程度しかしたことがない、直属の上司とマンツーマンレッスンなんて、どうしたらいいのか。
同姓同名であって欲しいーーー。
どちらにしろ、プロとして恥ずかしくないものを届けなければ。