メイドと花火とねがいごと

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「花火」 「見たかったんだろ」 なんで、千隼くんにはぜんぶお見通しなのかな。 それは少しもいやじゃなくて、見抜かれるたび、胸が甘く疼く。 好きで仕方ないって胸がいっぱいになるの。 千隼くんが向かった先は、3階の空き教室。 たくさんのひとが集まる屋上とは違って、穴場みたい。わたしと千隼くん以外には誰もいなくて。 窓の外の空に、ドン、と最初の花火が打ち上がった。 なないろの光がキラキラと舞って、光の粒が教室のなかを染める。 「……っ、ん」 吸い寄せられるように千隼くんとわたしの唇がくっついた。 ちゅ、ちゅ、と繰り返すキスに夢中になって、次第に花火の音が聞こえなくなる。 ────後夜祭の花火を見ながらキスをすると、そのカップルはずっと一緒にいられるってジンクスがあるらしい。 だけど、わたしは。 「ちはや、く……っ」 「うん」 「あのね、わたしのこと、ずっと好きでいてほし……っ」
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