189人が本棚に入れています
本棚に追加
熱に浮かされた瞳に、ぼうっとする。
理性を全部捨てて、残ったのは千隼くんがだいすきだって気持ちだけ。
だから……。
「いいよ……っ、千隼くんのぜんぶ、好きにして……?」
「……はー、どこで覚えてきたんだよそのせりふ」
長いため息をついた千隼くんは、こらえるように眉をきゅっと寄せて、ちゅうっと色っぽい音を立てて、唇を離した。
「終わ、り……?」
「焦んなくていーんだよ。俺、待てる男だから」
説得力あるだろ、と千隼くんが口角を上げる。
「でも、次同じこと言ったら、今度は全部もらうけど」
余裕なく言ったあと、千隼くんの手のひらがぎこちなくわたしの頭をなでた。ぐりぐりってするそのふれかたが。
ううん、それだけじゃない。
千隼くんのすべてが、わたしはほんとうに。
「大好き、千隼くん」
「……っ、あのさあ、いい加減にしろよ」
好きで好きで仕方ない、らしい。
END
最初のコメントを投稿しよう!