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「今日は、丸一日オフのはずなんだが……」
「なんだ、が? が、って何?」
休日なのに、くつろいだ様子のない隼人だ。
やはりソファに深く座り、天井を仰いでいる。
そんな彼の隣に滑り込み、比呂は顔を覗き込んだ。
「浮かない顔だね。どっか、出かけようか?」
「いや、そんな暇は無いよ」
隼人は、比呂を相手にぼやき始めた。
近日中に、動画配信をしなくてはならないこと。
すでに、公式ホームページまで、笹山が作ってしまったこと。
しかし、何を発信していいのか、隼人には全く思いつかないこと。
「意外に、動画を出してるタレントさんや芸人さんは、多いんだ。彼らの作品を観て、勉強しようと考えたんだが……」
「観れば観るほど、混乱してるんだね」
「そうなんだ」
隼人は大きな溜息をつき、頭を抱えてしまった。
ケーキをワンホール、何秒で一気食いできるか、だの。
推しているアニメを、一話ずつていねいに熱く語る、だの。
流行りのゲームをプレイしながら、実況する、だの。
「とてもじゃないが、私には無理だよ」
「確かに、ケーキを貪り食う隼人さんは、ファンの人も見たくないと思うなあ」
うぅん、と比呂も腕組みをして考えた。
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