第三章 前を向いて行こう!

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「今日は、丸一日オフのはずなんだが……」 「なんだ、が? が、って何?」  休日なのに、くつろいだ様子のない隼人だ。  やはりソファに深く座り、天井を仰いでいる。  そんな彼の隣に滑り込み、比呂は顔を覗き込んだ。 「浮かない顔だね。どっか、出かけようか?」 「いや、そんな暇は無いよ」  隼人は、比呂を相手にぼやき始めた。  近日中に、動画配信をしなくてはならないこと。  すでに、公式ホームページまで、笹山が作ってしまったこと。  しかし、何を発信していいのか、隼人には全く思いつかないこと。 「意外に、動画を出してるタレントさんや芸人さんは、多いんだ。彼らの作品を観て、勉強しようと考えたんだが……」 「観れば観るほど、混乱してるんだね」 「そうなんだ」  隼人は大きな溜息をつき、頭を抱えてしまった。  ケーキをワンホール、何秒で一気食いできるか、だの。  推しているアニメを、一話ずつていねいに熱く語る、だの。  流行りのゲームをプレイしながら、実況する、だの。 「とてもじゃないが、私には無理だよ」 「確かに、ケーキを貪り食う隼人さんは、ファンの人も見たくないと思うなあ」  うぅん、と比呂も腕組みをして考えた。
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