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「疲れた……」
楽屋へ戻り、ソファに身を預けた隼人は、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた。
先ほどの収録は、バラエティ番組だった。
人気芸人がMCを務め、場を盛り上げる。
観覧席からも、笑いが弾ける。
そこへゲストとして呼ばれた隼人は、イケメン俳優としてのキャラを崩さない程度に、ジョークを飛ばした。
真面目な実力派として名高い、あの桐生 隼人が冗談を言っている!
それだけで、この収録は大成功を収めたと言っても、過言ではなかった。
しかし、隼人は疲れていた。
決して、無理に笑いを取ろうとしたわけでは、ない。
この収録に限ったわけでも、ない。
「ここ最近、何だか疲れてるな……」
そんな風に、漠然と心身を蝕む疲労感に、隼人は悩んでいた。
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