第一章 波乱の幕開けデビュー25周年!

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 ぐったりとソファに沈んだまま、動かない時間が、5分程度あっただろうか。   ふいに控室のドアがノックされ、隼人は反射的に背筋を伸ばした。 「どうぞ」 「桐生さん、おはよう! そして、お疲れ様でした!」  やけに元気な訪問者は、隼人のチーフマネージャー・笹山(ささやま)だった。  中年に差し掛かり、少し丸くなってきた体を部屋の奥へ進めながら、彼はすぐさま喋り出した。 「ね、ね、ね。考えてくれたかなぁ?」 「何を、ですか?」  隼人は疲れた素振りも見せずに、笑顔と柔らかなボイスで笹山に向き直った。  いつでも、どこでも、誰にでも、人当たりがいいのは、彼の良い評判の一つだ。 「またまた、とぼけちゃって!」  勧められてもいないのに、笹山は隼人の隣に掛けると、ボディショルダーからタブレットを取り出した。 「あのね。ハウスキーパーも、募集してみたんだ。結構、可愛い子もいるよ?」 「笹山さん。その話だったら……」 「もう、予約しちゃったから。マンション」  隼人は、脳内で頭を抱えた。  笹山から勧められていたのは、ホテル住まいをやめて、マンションに落ち着くこと。  そして、そこから日常生活を中心とした、動画配信を始めることだった。
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