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「せっかく、デビュー25周年の節目を迎えるんだから、さ。何か新しい一歩を、踏み出そうよ」
「うん。それは確かに、いい考えです」
まずは同意してしまうのが、隼人の癖だ。
正直、プライベートまで公に明かしてしまいたくはない。
ホテルを転々として、定まった住まいを持たない理由も、そこから来ている。
しかし、隼人が二言目を話す間もなく、笹山は大きくうなずいてしまった。
「よし、決まり! マンションの名義は、桐生さんでいいね! それで、ハウスキーパーなんだけど」
「笹山さん、私は……」
「ほらほら、見て。老若男女、その道のプロだから! でも、やっぱりいつも傍にいるなら、可愛い子がいいかな!?」
「ちょっと待って。いつも傍に、って……?」
「住み込みで、働いてもらうから。僕は、この辺りの子が好みなんだけど!」
もう一度、隼人が脳内で頭を抱えていると、笹山はタブレットで数名の人間を示した。
彼が、ぐいぐいと端末を押し付けてくるものだから、隼人は思わず手でディスプレイに触れてしまった。
触れたディスプレイは、勝手にその中の一人を決定し、画像を拡大して寄こしてきた。
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