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ペンション
二人でスキー旅行に行った。夜行バスに乗った。
少しおしゃれなペンションみたいなところに宿をとった。
夕食をして、少しテレビを見た。
「お風呂に入るね」と君は言った。
「ああ、先にいっといで」
「絶対にのぞいたら、だめだよ」
「ええ、残念!」俺はおどけていった。
しばらくして脱衣所の中から、ドアノブがガチャガチャと音がする。
「ちょっと、このドア開かないんだけど!」
俺もドアノブを回したけれども、うんともすんともいわない。
「なんで?」とおれは聞いた。
「私、カギかけたのよ。それで?」
俺は鍵をかけた理由を知りたかったが、聞かなかった。
ペンションの人を呼んだ。風呂のドアが開かないんです。
「彼女が中からカギをかけたらしくて…」
「カギを…かけた…、はあ…」ペンションの人は不思議そうな顔をした。
ペンションの人が頑張ってくれて、少し時間がかかったが、ドアは開いた。
彼女はなんとも言えない、恥ずかしいそうな、悲しいような表情で出てきた。
「どうして助けてくれなかったのよ!」
「ペンションの人呼んだやんか」
「他の人に頼むなんて、ありえない」
「じゃあ、なんで鍵かけたん?」
「だって、見られたら…恥ずかしいから」
そんな清い交際してたっけな。変なの。
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