(7): ときめき馬車は加速中

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意識した途端、心臓がうるさくなった。 だって、深見くんの胸が目の前にある。 おまけに、メジャーをあてるために私の腕は、今、深見くんの背中に回っていて。 こんなの、抱きついているのと、ほとんど一緒。 どうしよう、と視線をそろりと上げると、くっきりした喉仏に視線がぶつかってしまって、ますます困ってしまった。 どこを見ればいいのかわからない。 触れてしまっている手はどうすればいいの。 こんなの、ドキドキしない方が難しい。 心臓が、こわれる。 「……っ、ふ、かみくん」 助けてほしい、と名前を呼ぶと、深見くんの視線が降りてきた。 目が合う。 体温が上がる。 くらくらと目眩がして、耐えきれずきゅっと瞼を下ろしかけたとき。
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