(7): ときめき馬車は加速中

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「……杏奈」 お砂糖をまぶしたみたいな深見くんの声が、耳もとにそっと降りかかった。 甘く痺れて、動けない、麻痺したみたいに。 思わず深見くんの背中に回した手で、シャツをきゅっと握ると、深見くんは瞳を熱に揺らす。 そして、そっと持ち上げた手で、私の顔の横の髪に触れた。 「……っ、ぁ」 はらり、落ちた長い髪を深見くんの指先がするりと絡めとって。 ゆっくりと丁寧に、耳にかけ直してくれる。 頬に深見くんの親指が触れて、その淡い感触に思わずぴくんと震えると、深見くんは我に返ったようにパッと手を離した。 名残惜しい、なんて思っちゃだめだ。 「……測れた?」 「……う、ん」
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