(7): ときめき馬車は加速中

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「ふは、褒め殺すじゃん」 だって、事実だよ。 私とは違うもん。 深見くんのことは、みんな見たいって思ってるんだから。 「見たい」 「……え?」 「だから、俺は、杏奈がどんな衣装着るか見たいって話。杏奈はこういうの苦手だろうから、くじ引きあてて、内心絶望したんだろうけど」 憂鬱が、たった一瞬で、溶けてなくなるなんて変なの。 代わりにまた心が甘く疼き始める。 深見くんと一緒にいると、体中が変だ。 目はチカチカするし、頬は熱いし、胸はぎゅっとなるし。 「……文化祭、楽しみ」 ほろっとこぼれ落ちたのは、本心だった。 「な」 と深見くんがテノールで同調して、また、心臓が飛び跳ねた。
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