(8): 灰かぶりがドレスを着ても

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「ふふ」 くすくす笑った安曇さんは私のすぐ隣にまでやってきて、すとんと腰を下ろした。 「なんか、森下さんって、話しやすくなったよね」 「っ、えっ?」 「雰囲気が柔らかくなった? というか……。最初にここで話したときは、近寄りがたいオーラ出てたもん。冷たそうっていうか、正直言って仲良くなれなさそうっていうか」 ああ……、と納得する。 それは、いつも言われることだったから。 やっぱり私は、と思ったところで「でも」と安曇さんが言葉を続けた。 「最近、なんか、こうぐっとわかりやすくなった。────で、気づいたんだけど、森下さんってめちゃくちゃピュアでしょ」 「えっ? そう、かな」 「そう、今どき珍しいくらいだよ? もともとすごーく純粋な子なんだなってやっと気づいた。なかなか見抜けないくらい、あんた、鎧着込んでたんだから」 鎧、かぁ。 着込んでいた自覚はあるし、脱ぐのを諦めていた自覚もあった。 どうせ、わかってもらえないからって。
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