(8): 灰かぶりがドレスを着ても

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「まあ、まだまだ分厚いけど。まだまだ、硬い殻かぶってるなって思わなくもないけど……最初よりはマシ。表情も柔らかくなった気がするし。それって、なにか、きっかけとかあるの?」 興味本位、といった感じで安曇さんが首を傾げる。 自分の変化には自分じゃなかなか気づけない。 首をひねって考える。 きっかけ。 きっかけ……が、あると、したら。 近衛くんと他愛ない話で盛り上がっている、その人にちらりと視線を送る。 アッシュブラウンの髪、色素の薄い瞳、誰もが羨む “王子様” 。 そのとき、プレハブの扉がガチャリと開いて。 「深見、いる?」 「おー、なに?」 「深見に用あるって、2年の女子が教室まで来たんだけど、お前いなかったから呼びに来た」 「2年? 誰?」
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