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「まあ、まだまだ分厚いけど。まだまだ、硬い殻かぶってるなって思わなくもないけど……最初よりはマシ。表情も柔らかくなった気がするし。それって、なにか、きっかけとかあるの?」
興味本位、といった感じで安曇さんが首を傾げる。
自分の変化には自分じゃなかなか気づけない。
首をひねって考える。
きっかけ。
きっかけ……が、あると、したら。
近衛くんと他愛ない話で盛り上がっている、その人にちらりと視線を送る。
アッシュブラウンの髪、色素の薄い瞳、誰もが羨む “王子様” 。
そのとき、プレハブの扉がガチャリと開いて。
「深見、いる?」
「おー、なに?」
「深見に用あるって、2年の女子が教室まで来たんだけど、お前いなかったから呼びに来た」
「2年? 誰?」
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