(8): 灰かぶりがドレスを着ても

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「知らん。委員の後輩って言ってたけど。とりあえず、その子、中庭んとこで待ってるって」 「あー……マジか。わかった」 深見くんは立ち上がって、ふらっとプレハブから出て行く。 扉がパタンと閉まると、一瞬、防音室が静まり返って。 「あれは告白だな」 「100パーそうだろ。あいつ、モテっからな」 「しかも後輩? やるねえ」 「ヒュ〜〜ッ、熱っ」 やいのやいの好き勝手、盛り上がる。 深見くんがこんな風に、たくさん告白されているのは情報として知っていたけれど、実際呼び出される場面を目の当たりにしたのは、はじめてだった。 どろりと黒いなにかが、胸のなかに流れこんでくる。 「恭介、今回も断るんかな」 「断るんじゃない? ていうか、今まで勝率0パーなのに告る女の度胸がすごいと思うよ俺は」 「よっぽど好きなんだろ。あと、時期?」 「あー、夏休みだしな。わかるわー、長期休暇って人肌恋しくてたまんねーもん。俺も彼女欲しー」 夏休みは気づけばもう半分を過ぎている。 今日は、文化祭準備のための、久しぶりの登校日だった。
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