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⑥次の3年間へ
3年前の9月21日に戻ってきた、タイムリープは飽きもせずに繰り返される。
これでも今度こそ本当に死ねるだろうかと期待はしているのだ、でも私は完全にこの輪廻の環に取り込まれてしまったのね。
さて上司に辞職を伝えなくては。引き継ぎを終えて実際退職するのは2週間後。
そしてカフェのバイトに申し込んで、また海翔と出会って──いつもと変わらないタイムリープ、それが当たり前の人生になってしまった。
そして迎えた海翔との再会、その姿を店の外に見かけて胸が高鳴る。
事故の時はかっこよかったなあ、海翔が引き寄せてくれたの覚えてる、力強い腕に抱き寄せられたの。あの瞬間に助けようなんて動ける? ああ、もう本当に好き。もう力も入らないだろうに最後の最後まで抱きしめてくれてた、嬉しかったなあ。
ドアを開けて入って来た海翔の足が止まる、なんだろうと見れば海翔は驚いた顔で立っていた。その顔が笑みに溶ける──ああ、なんてこと。それ、私だから判る、あなた、私のこと、覚えているのね。
「いらっしゃいませ」
微笑む海翔に声をかけた。
「カフェオレでよろしいですか?」
言えばはっとする、彼は常連だけど、私が接客するのは初めてのはずだから彼が注文するものは知らないはずなのに、って驚いたんだろう。
「ね──海翔」
声をかければ海翔はこれ以上開かないだろうっていうくらい目を見開いた、そして私の名を呼んでくれる。
「あかね、どうして──」
名札はつけているけれど、それはニックネームの『まゆみ』だ、だから、つまり、そういうこと。
私は笑顔のまま泣き崩れた、嬉しくて涙が出るって本当なんだ。
あなたをタイムリープに巻き込んでしまった──ごめんなさいと思うと同時に嬉しかった。
初めてあなたと「新しい3年間」を迎えられるのね。これ以上の幸せがあるだろうか。
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