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「はあー、今回の話も良かった。たくさんキュンを充電できた」
私は、恋愛小説を読みきって、幸せに浸っていた。やはり、キュンを充電するには小説が欠かせない。
ちなみに私には、彼氏がいる。しかも、今も私の横に座って本を読んでいる。
しかし、私達は交際期間が長いせいか、既に二人の間にある愛は男女の愛というより家族愛に近い気がする。そんな事を思いながら彼を見ていると、ふと彼と目があった。
「ん?どうした?」
「新しく買った本読み終わっちゃって暇だなと思って」
「そっか。どうだった?面白かった?」
「うん。面白かったよ」
「それは、良かったね」
そう言って、彼は笑った。彼は控えめで男らしさと言う点では劣るかもしれないが、私は、彼のこの優しい笑顔が大好きだ。
「あのね、今日の小説に書いてあったんだけど、キスする場所によって一つ一つ意味があるんだって。」
「それなら知ってるよ。例えば、」
「ちょっと待って!」
「どうした?」
「せっかくだから、クイズにしよう。私が問題を出すね」
「分かった。いいよ」
彼の返事を聞くと、私は、彼の手を取った。その瞬間、彼はやっと私の言葉の意味を正しく理解したんだろう。目を見開いて、驚いた顔をした。そんな彼の顔を見ながら、私は彼の手の甲にキスをした。
「このキスの意味は?」
「敬愛」
彼は、恥ずかしそうに顔を横に向けながら言った。
「当たり」
「じゃあ、これは?」
私は、そんな彼の顔を両手で挟むと、今度はおでこにキスをする。
「友情」
「すごい、当たり」
「じゃあ、これは?」
今度は、頬にキスをした。
「あいさつ?」
「厚意だよ」
「じゃあ、これは?」
今度は、鼻にキスをした。
「分からない」
「愛着」
彼の顔を見ると、ほんのりと赤く色づいていた。だから私は、次にここを選んだ。
「じゃあ、これは?」
私が選んだのは首だ。
「知らないよ…」
「執着」
彼は、恥ずかしさの限界のようだった。すでに耳は真っ赤だ。
「じゃあ、次は」
「ちょっと待って!」
私は、彼の言葉を聞かず彼に抱きつくと耳にキスをした。
「…」
「誘惑」
私は、彼の耳に囁いた。そして、彼から体を離し、顔を見ると真っ赤になっていた。そんな彼を見て、私はもう一度抱きつき、耳元に囁いた。
「6問中2個しか当たらなかったから私の勝ちね」
そして、私は彼から離れ立ち上がった。すると、彼は私の腕を掴んだ。
「どうしたの?」
「いや…」
「もう終わりにして欲しかったんでしょ?」
「いや、そうだったんだけど…」
「へんなの」
私は、テーブルに載っている私と彼のカップを持つと、彼から離れてキッチンに向かう。
私がカップを洗っていると、彼が私を後ろから抱きしめてきた。
「洗い物してるよ」
私は、彼を見ずに言う。
「うん。あのさ…」
「なあに?」
「こっち向いて」
「だめ」
私が、そのまま洗い物をしてると彼が耳にキスをして囁いた。
「誘惑」
私は、笑って手を止め、彼を見た。すると、彼が私のくちびるにキスをして尋ねた。
「これは?」
「愛してる」
今度は私が答えると、彼は笑って正解と言った。そして私達は、さっきより甘く蕩けるようなキスをした。
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