短編

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 その手つきは慣れたもので、とても心地よいものだった。  自分でやる時とは比べものにならない程に。 「さあ、終わったよ。どうだったかな?」  気づいたら終わっていた。  気持ちが良すぎたのか、時間がすぐに立っていた。 「いやあ、なかなか良かったっス。ありがとうございました」 「満足してくれて嬉しいよ。どうだろう今度はキミの手腕が知りたいな、ボクの背中を流してくれるかい?」  やってもらった以上、礼は返さなきゃならない。  俺は喜んで引き受けた。  …………? 「そうか、それなら嬉しいよ」  満足そうに笑う。  何でだろう? そんなに嬉しかったか?  とるあえず、その背中を流してやる。  しかし、綺麗な肌だ。  ホストだけあって、スキンケアには人一倍気を遣ってんのかもな。  なんだか申し訳なく思って、いつも以上に力を入れず、丁寧に洗うことにする。 「ン……優しいんだね。気持ちがいいよ。キミにこうして貰えるなんて光栄だね、ボクってさ」  そう言って、満足そうに笑っていた。
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