第6話

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 二人してドレスに着替えた後、パーティー会場へと移動する。  何でも何でもコッテンパー家の親戚一同が会する私的なパーティーらしいが、公爵家ともなればそれはもう大規模なものになる。……私の親戚なんて人数も少ないから飯屋で飯食って終わりなんだよねぇ。いいかそんな事。  さてとじゃあこいつの出番かな? 私は密かに練習していたマンドリンを取り出す、こいつで会場の雰囲気を温めてやろうじゃないか。  と思っていたのに何故かお嬢様に取られてしまった。 「何するんですか! 人がせっかく持ってきたのにぃ」 「どこに隠し持ってましたのこんなもの! ダメです没収ですわ。貴女に貴族の気品を学ばせる為にお呼びした事をお忘れですか? このような物で場を盛り上げようなどと、そのような考えを持ってもらっては困りますわ」  えーそれは横暴じゃない? 「えぇ~……。じゃあどうすれば良いって言うんです?」 「貴女に求めるのは優雅な貴族たる振る舞いですわ。それを今日しっかりと学び、そして今後に生かすのです」 「うぅむ。しかし私に出来るんでありましょうか?」 「大丈夫です。私の真似をすれば必ずやれます」 「本当でしょうか?」 「ええ勿論です」 「ええ本当に?」 「くどいですわね! とにかく周りを良く見て、そしてらしい振る舞いというもの覚えるのですわ。しかしただ合わせるだけでもダメ、しっかり自分を主張する事も貴族に求められた優美である事も知りなさい」
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