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「もう明日、式だよね」
「早えぇよな。
準備が忙しくてあっという間だよ」
もう入籍は済ませたそうで、彼の左手薬指には既婚者の証しが光っている。
「来てくれるよな、もちろん」
「当たり前でしょ。
アヤは友達なんだし」
私がグズグズしている間に、彼は他の同期と付き合いだした。
それでもまだ、どこか焦りはなかったのだ。
きっといつか破局が訪れて、そのあとは私が、って。
でも結局、そんなことは全然起こらなかったが。
「あんたが結婚、か。
まだ信じらんない」
「そうか?
俺は同期の中でお前が一番先に結婚すると思ってたけどな」
「なにそれ」
結婚どころか彼への想いを拗らせて、入社以来、恋なんてしていない。
でもそれも、断ち切らなければ。
「アヤがさ、ブーケは絶対、お前に渡すって。
俺もそれがいいと思うんだ」
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