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「するに決まってるだろ。
洗いたてのシーツは気持ちいいしな。
結婚したら家事はできるだけやるぞ」
なにげにもう、結婚前提になっているのが理解できない。
私と彼はいままで、ただの上司と部下だったのに。
「……そもそもなんで、佐藤課長が見合いなんか」
顔と言動は冷たいが、大多数のイケメン基準はクリアしているし、さらにそういうところがいいとか言う人間も少なからずいて、社内では人気が高い。
そんな彼なら見合いなどせずとも選び放題だろうに。
「……見合い相手が君だと聞いたからだ」
くいっ、と課長が眼鏡を上げる。
「えっと……?」
「いつもにこにこ笑っていて、誰の相談にも乗る君は、僕にとってとても眩しい存在だからな。
実際、僕も救われた。
日野たちの失敗のとき」
あれは自分より年下で上司な彼が気に入らないからといって、自分の失敗を課長のせいにして押し付けた日野さんが悪い。
しかもボスザルのように君臨する彼に遠慮して、誰ひとり課長を助けなかった。
でも私は普通に課長の手助けをしたし、それが当然だと思っていたけれど。
「そんな君との見合いなんだ。
来ない方がおかしい」
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