金平糖~色の数だけ恋はある~

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金平糖~色の数だけ恋はある~

「うがーっ! もうネタなんて思いつかなーい!」 ガシガシ髪を掻き乱そうと、出てこないものは出てこない。 いくらこれが、仕事でも。 そもそも企画がおかしいんだよ。 読者リクエストできたお菓子をお題に作品書いてくださいとか。 ミルクレープやあんみつはわかるけど、プレッツェルってお菓子じゃなくパンじゃん? カヌレとか食べたことないし。 「奥さん。 休憩しません、か?」 さらにうがーっと叫んでいたら、ドアがノックされた。 器用に両手にカップを持ったまま旦那が入ってきて、眼鏡の奥でにっこりと笑う。 「……する」 「はい」 差し出されたカップの中身は、カフェラテみたいだった。 「……あま」 「疲れたあたまには糖分補給でしょ」 優しい甘さが身体を癒やしていく。 旦那は書棚にもたれて、自分のカップに口を付けていた。 悔しいが、長身眼鏡の彼が、そんなことをしているのは酷く絵になって、……ムカつく。
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