金平糖~色の数だけ恋はある~

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「それにしても見事に髪、ぐちゃぐちゃだね」 「うっ」 そんな、絵に描いたみたいに綺麗に三日月型に口角を上げて指摘しなくったって。 「はーい。 綺麗な俺の奥さんに戻ろうねー」 彼の手にブラシが握られ、私の髪をとかしていく。 あっという間にあんなに乱れていた髪は、ツヤさらボブへと戻っていた。 「はい、できあがり。 晩ごはんはなに食べたい?」 少しだけ椅子を回し、彼が私の顔を覗き込む。 「……チキンカレー。 ほろほろ手羽元入ってるやつ」 「了解」 私にちゅっと口付けし、ひらひらと手を振りながら彼が部屋を出ていく頃には、完全に機嫌はよくなっていた。 「次は金平糖、か」 色とりどりの金平糖。 私の話も、そんな色とりどりになればいい。 「さてと。 もうひと頑張りしますかね」 こきこきと軽く首を鳴らし、再びキーボードに指を置く。 たくさんの話から、誰かのお気に入りが見つかればいいな、そう願いながら。 【終】
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